うとなすっていらっしゃる、お金のことでございます」
 お高は、ここから話を持って行こうと思った。おせい様は、ちょっとはあわてたふうを見せた。
「若松屋さんは、その金が、どうしてもできないというのでございますか」
「いいえ、あなた様が、そのお金を若松屋さまから取り立てて、あの、わたくしの親類の磯屋のほうへまわそうとしていらっしゃる、そのことでございます」
 おせい様は、少女のように赧い顔をして、うつむいた。お高は、また、気の毒な気がこみ上げてきた。が、思い切って、つづけた。
「あなた様は、五兵衛さんといっしょにおなりになるにつけて、そのお金を、磯屋の商売のほうへお足しになろうとしていらっしゃるのでございましょう」
 おせい様は、いよいよ赧くなった顔を上げた。
「そうでございますよ。五兵衛さまというお方は、いいお方でございますから、わたしは、何もかも五兵衛さまにあげてしまおうと思っているのでございますよ」
「でも、五兵衛さんは、あなた様といっしょになるわけにはゆかないのでございます。あなた様とのみ申さずどなたともいっしょになるわけにはゆかないのでございます。五兵衛さんは、あなた様を、たぶら
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