いるのだ。その眼で見ると、高音と若松屋惣七は、大きに熱い仲であることがわかる。それはそれで、面白いことだと、磯五はにっこりして、おせい様の待っている奥の座敷へはいって行った。
おせい様は、灯をみつめてすわっていた。
磯五は、着ている洒落た着物に衣《きぬ》ずれの音をさせて、その光のほんのりしている座敷へはいっていった。
おせい様は、その男ぶりをあがめるような眼つきで、磯五を見た。磯五は、それにはわざと知らん顔をして、おせい様の近くへ行ってすわった。やっと二人きりになったとき、相手の期待に反して、ときどきわざとよそよそしいふうを見せるのが、ますますその女をたまらなくさせるのだった。こうして、女のほうから追っかけて来るようにしむけるのが、磯五の手だった。
「どちらか湯治にお出かけになるというようなおはなしでしたが――」
磯五がいった。おせい様はそれに答えるまえに、お駒のことをきいた。おせい様は、真剣にお駒ちゃんのことを心配しているのだ。
「お帰りになりましたか。たいしたことでなければよろしゅうございますがねえ」
お駒ちゃんのことなど、もうけろりと忘れていた磯五は、びっくりした。
「何です、おせい様、誰のことです」
「あれ、いやでございますよ。お妹さんのお駒さんのことですよ」
「ああ、お駒ですか。よろしくと申して帰りました。いつもよくいい聞かせているのですが、あれも気の勝った女で、商売が忙しくなると、つい何から何まで、一人で引き受けてからだを動かさないと気がすまない性《たち》なので、ときどきやられます。困りますよ」
「ほんとに、お気をつけてあげなすってくださいましよ。わたしにとっても、たった一人の大事な妹でございますからねえ」
おせい様がしんみりそういうと、磯五も、しおらしくうなだれた。おせい様は磯五の問いを思い出した。
「もうすこしおあったかになったら、どこか近いところへ遊びに行きたいと思っていますよ。あなたもおいでなさいましよ」
「いや。いまは店の仕事が立てこんでいて、とても抜けられません。春の仕入れで、いそがしい盛りなのです」
磯五は、家業大事という顔をした。おせい様が、失望をうかべて、すねるように何かいい出そうとすると磯五が、つづけた。
「おせい様、とんでもないことがわかりました。びっくりなすっちゃいけませんよ。家内がまだ生きているんです」
「家内って
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