っしょになるの何のとちゃらんぽらんをいうものですから、おせい様が、若松屋さんからお金を引き出そうとして、若松屋さまもわたしも、たいそう苦しめられておりますのでございます」
「他人の金を預かっておきながら、自用にまわしたりするのが悪いのだ」
「わたしはおせい様に、お前さまには女房があって、その女房は生きていますといいましたでございますよ」
「そんなことだろうと思って、きょう限り、おれのことにはかかりあってもらうめえと、それをいいに来ましたよ」
「お前さまこそ、きょう限り、おせい様をそそのかして若松屋さまからお金を取り立てることをよさなければ今度は、このわたしこそ磯五の女房でありますと、おせい様に打ちあけるつもりでございます」
「ははあ。それは面白い」
磯五は、せせらわらって「ぜひ打ちあけてもらおう」
お高は、あいた口がふさがらないように、磯五を見上げた。磯五は、うそぶいていた。
「おめえが何といったところで、おせい様は、おめえよりもおれを信じるのだ。なるほど、おめえがその女房だと名乗れば、何よりの証拠だから、おせい様もびっくりするだろう。悲しむだろう。が、いくらびっくりしても、悲しんでも、それかといって、そのときからおれがきれえになるわけのものでもねえ。かえって、いっしょになれないとわかれば、いっそうつのってくるのが、ああいう女のこころもちだ。高音、藪蛇《やぶへび》だぜ、これあ。藪蛇はよしな」
「何が藪蛇でございます」
「薮蛇じゃあねえか。よく考えてみなさい。おめえがおせい様に身分を打ちあける。すると、おせい様の心になってみれば、おめえというものがあるばっかりに晴れておれと夫婦になるわけにゆかぬ。すりゃ、おせい様はおめえが憎くなる。嫉《や》けてもくる。
その憎い恋がたきのおめえが、おせい様の道に立って邪魔しながらじぶんでは、一方にあの若松屋とねんごろにしている――おせい様は、おめえに対する意地からでも、いっそう激しく督促して、若松屋をいためつけるに相違ねえ。これは誰に聞かせても、むりのねえところだろうと思うのだ」
「わたしは、何も、おせい様のお金のことばかり申すのではございません。お前さまがあのお方をたぶらかしているのが、悪いというのでございます」
「うんにゃ、そうじゃあねえ。お前は若松屋のほうさえ取り立てが延びれば、それでいいのだろう。ちゃんと面に書いてあらあ
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