やはいって来て元の位置に戻る。白基竜は悄然と隅の腰掛けにつき、卓子に俯伏す。
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同志一 (禹徳淳へ)いったい安重根さんはどうしたんです。どこにいるんです。
禹徳淳 (ストウブへ進んで)もうストウブが出ているのか。こりゃあ気がきいてる。まったく、夜そとを歩いていると、海から吹いて来る風で頬っぺたが切れそうだからなあ。(気がついて)だが、火のないストウブじゃあしようがない。
黄成鎬 徳淳さん、安さんはまだ見《め》っかりませんかね。皆さんこうしてお待ちかねだが――。
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上手、別室のドアがあいて、「ちょいと。」と黄成鎬を呼ぶ妻黄瑞露の声がする。
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ドアの前の青年 (振り返って)おやじさんかい。(黄成鎬へ)おい、おかみさんが呼んでるぞ。
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黄成鎬は起って別室へ入り、間もなく、何事か聞き取って承知したる顔で、そっと帰って来て、もとの卓子に腰かけている。
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禹徳淳 (今の黄
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