出した安さんの手紙が先生んとこへ届いたのは、いつだったっけな。一昨日《おととい》でしたね、先生。
李剛 (歩きながら)そうだ。
朴鳳錫 (誰にともなく大声に)おい! 白基竜はどうしたんだ。安さんは、今朝早くやって来る予定なのに、こう夕方になっても顔を見せないから、おおいに歓迎しようと待ち構えていた同志たちは拍子抜けがして、ああやってたびたび訊き合わせに来るし、今度は、李先生まで心配して、さっき黄成鎬の家へ白基竜のやつを様子見にやったんだが――。
柳麗玉 ええ。安さんはウラジオへ出て来れば、黄成鎬さんとこへ泊るにきまっていますけれど、今度だけはあたし、まっすぐここへ来るはずだと思うわ。先生はじめ同志の方が、皆こんなに待っていることは、安さんだって知っているんですもの。
卓連俊 待ってるのあ、仲間や先生だけじゃああるまいってね。
李春華 お爺さん、しょうがないね。そうやって剥《む》く傍から葱を食べちまって。それより、水をいっぱい汲んで来ておくれよ。
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卓連俊はバケツを提げてドアの階段口から降りる。
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李春華
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