しますよ、なんていい声の一つも聞かせてくんねえ。うふっ」
「亀《かめ》っ! われの突ん出る幕じゃあねえ、[#「ねえ、」は底本では「ねえ 」]俺さまがお抱き申して往くんだ」
「うめえことをいうぜ。このふっくら[#「ふっくら」に傍点]したやつを一人で抱いてくなんて理窟《りくつ》はねえ」
「じゃあ、恨みっこねえように坊主持ちだ、坊主もちだ!」
「なにを! 坊主はひとりここにいらあ」
「わあい! わあい!」
「やっちゃえ、やっちゃえ!」
「手取り足とり別の間へ、と出かけべえ」
「おらあ脚を持つ」
「こん畜生! 脚はおいらが先約だ」
どういう量見か、みんな脚部《あし》のほうを受け持ちたがってがやがや[#「がやがや」に傍点]いっている。こうして、文字どおりかついでゆくつもりらしい。
いくら気丈夫でも、女一人に相手はあぶれ[#「あぶれ」に傍点]者が五、六人、どうしてかなう道理はない。
わざとおずおずとあとずさりした女、今にも泣き出しそうな顔で、
「あの、お前さんたち、感違えをしちゃあ困りますよ。あたしゃこの先のお店《たな》のもので、あれ、あそこへ良人《うちの》が迎えに出てるじゃありませんか」
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