の家の秘密を観破しようとしはじめたんだ。彼女の頭がどの程度に実際的であるかは、かつて僕が旅行に立つ前に君に説明したはずだ。彼女はけなげにも一つのテオリーを思いついていた。それは、脅迫状は妹さだ子によつて父に送られたものである、と。それ以来、彼女は僕の所に来るまで全然さだ子を疑い怪しんでいたんだ。
11[#「11」は縦中横]
「彼女は、そこでおよそ女の犯罪人というものについて種々の研究をはじめた。グリーン・マーダー・ケースは探偵小説ではあるが、それがいかにも自分の家とコンディションが似ている。彼女は、だから夢中になつてあの小説に読み耽り、可憐な少女の犯す殺人方法を研究していたんだよ。しかして、一度僕に釣り出されてヴァン・ダインの話をもち出すや、賢明なひろ子は逆に犯罪小説、探偵小説を自分が読んでいるという話から、妹が怪しいということを僕に暗示したのだ。君は、コンスタンス・ケントの話や、外面如菩薩内心如夜叉という言葉が彼女の口から出たのをおぼえているだろうね。更に、第三回の事件の直前、君と花壇の所で話していたことに至つては暗示でなくて明示だといつてもいい。
「第一の事件の直前
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