ている間もなかつたので急いで帰つて来た。もしや駿三が実は知つているのではないかと感じていたので、帰るや否や秋川邸に行つて駿三を調べるとあの始末。林田のいない所で駿三が死んだ。だからほんとに僕は驚いたんだが、これは殺人事件ではないと判つた」
「で、君は林田が犯人だという証拠を捕えて来たのかい」
「ところが残念ながらそれがどうしても無いんだ。そこへもつて来て林田の最後の、しかしながら最大の目的たる駿三が死んだ。さあこうなれば彼何を仕出すか判らない。では一体僕はどうすればよいか。――差し当り、あらゆる策を講じて伊達かよ[#「かよ」に傍点]の妹を捕まえなければならぬ。もしこの女が捕まればたとえ林田に会つたことはなくとも、声位おぼえているだろう。また脅迫状を送れ、とか電話を秋川邸へかけろとかいう命令を受けたことはたしかに明らかになるわけだ。そこでふと考えついたのは今まで偶然にも、伊達の嫌疑が余り新聞に出なかつたことなんだ。ねえ君、脅迫状を送つた奴はたしかに秋川駿三の仇であるに違いない。しかし正男にとつては必ず味方であるはずなんだ。

      7

「とすればだ。もし今殺人事件の為に伊達が非常
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