だの僕だのにきびしく責められて来る。何もそれほど苦しんで、自分が犠牲になる必要はあるまい。いつそ、一思いに事実をぶちまけてしまおうか、とこう思いはじめたんだ。この心理の変化を、林田は早くも見てとつた。しまつた、これは自分の思つていたのと少し勝手がちがうぞ、こりやいかんとこう彼が決心したのが、丁度四月二十日の夜なんだ。いよいよ第二の悲劇の説明にとりかかるわけだが、今までの話はよく判つたろうね。佐田やすの心理はよくおぼえていてくれ給えよ」
藤枝はこう云うとかたわらの茶を一口のんで、またうまそうに煙草の煙を天井に吹いた。
7
「四月二十日の夜、僕と小川君とが秋川邸に行つた時、そしてピヤノの部屋に行つた時、あそこでは林田がやす[#「やす」に傍点]を訊問していた。いやもつと正確に云えばやす[#「やす」に傍点]を訊問している如く見えた。僕は当時無論真相を掴んでいたわけではなかつたが、ともかく、やす[#「やす」に傍点]を落すのが切迫した必要条件だと感じていたのだ。だからこそ、あの日、林田がすでに来てやす[#「やす」に傍点]を調べているときかされて、あわてたんだ。白状するがあの時は全
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