弟さん、妹さんを殺したのは皆あの男です。ただお父さんの死は全く別ですが」
 さだ子は、今更おそろしさに身をふるわせたのであつた。
「ともかく、今日の始末をきかせていただきましようか」
 はじめて、警部が口を出した。
「はい、今しがたでございます、林田さんが見えまして、警察のことで話があるとおつしやいますのです。私も伊達さんのことが気になりますし、林田先生(といいかけて)あの人を全く信じておりましたものですから自分の部屋にお通し申しました」

      8

「今から考えますと、林田さん(彼女はもはや先生とは云わない)の顔色がいつもとは大変違つていたように思われます。テーブルを隔てて腰かけ、女中がお紅茶を二つもつて来て、ドアから出て行つてしまいますと、林田さんは、形を改めて、今日は大変秘密なことを話したいと云い出しました。そうして、ふと、ドアの外のようすをうかがつていられるようでしたが、私に『誰か外にいるのじやないかしら。もしや姉さんが立ち聞きしてはいないかしら』と心配そうにいわれました」
「彼は腰かけたままでしたか」と藤枝がきく。
「はあ、それで私が念の為に、立つてドアをあけましたが
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