はじまつているような音がきこえる。
 藤枝の顔はもう全く死人の色だつた。
「小川、小川、たたつこわすんだ、この戸を! この戸を」
 こういいながら彼は満身の力をあつめて戸に身をぶつけている。
 腕力にかけては憚りながら自信のある私だ。柔道剣道できたえた身体の、骨もくだけよ、とばかり体は戸にぶつかつた。
 物音をきいてひろ子が向うの部屋からとび出して来る。笹田執事もつづいて下から上つて来た。
 必死の奮闘で、戸はめりめりとこわれはじめた。そのすきまから藤枝はちよつと中をのぞいたが、いきなりそこから手をつつこんでドアの鍵をはずすと戸はサット開かれて、われわれはころがるように中にとびこんだ。
 その刹那、向うの窓ぎわに立つていた林田の身体がふらふらとしたと見るまにくずれるように床の上に仆れてしまつた。
 テーブルのそばの椅子から半分おちかかつてさだ子が死んでいる。

      7

 藤枝はいきなりさだ子のそばにかけよつたが大きな声で叫んだ。
「間にあつた。大丈夫だ。ショックだよ。ショックだ。大丈夫回復する。早く医者を、医者を! それから警察へすぐ電話をかけるんだ」
 なるほど、ここの家で
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