者らをながめながら、制裁をすることが出来ず、呪いをあびせながら憤死してしまつた。姦婦かよ子はどうしたか。彼女はおそらくは、夫の死後自分の罪のおそろしさに気がついたのだろう。まもなく夫のあとを追つたが、これは実は自殺であつた。かよ子が自殺をした。この時おそらくは彼女は自分の罪をほんとうに懺悔したにちがいない。と同時に、多分、彼女は自分の罪を何らかの方法で書き残した。誰に? これが問題なのだ。誰にのこしたか。今にして僕にやつと判るのは一つは君に、しかして今一つは多分相手の秋川駿三にだつたろうと思う」
「悪魔です! 悪魔です! 駿三は悪魔です!」
突然、今まで苦しんでいた千代子が苦痛の声をしぼりながら叫んだので、皆思わずはつとした。
「そうだ。無論そう云つて捷平も死に、君の姉も死んだろう。もつとも君の姉はわが身をも恨んで死んだかも知れん。そこで彼女は、過去の罪のつぐないとして、我子正男の一生を秋川駿三の両肩に托したのだ。これは今から思うと実に適当な復讐だつたよ。この時、かよ子は二十八才、正男が五才、君はまだ二十三才の婦人だつた筈だ」
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「二十三才と云えば人生の花だ。ことに
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