へ行つてしまつたのか、はつきり判らない。
「君、御主人がここを出てからちよつと五分になるが、一体どこへ行つたのかしら」
 藤枝が腕時計に目をやりながら私に云つた。
「うん、少し永いようだが」
「私行つて見ましようかしら。……しかし、あとからつけて行くのもおかしい、御主人も好まれぬようでしたが」
 木沢氏も不安な顔つきで二人を見た。
「あと三分待ちましよう。何分御主人がわれわれをここにしめこんでしまつてるのですから」
 藤枝は二人にそう云つたが、何を思い出したか小さい声で木沢氏に、
「伊達君はまだ病気ですね」
 と訊ねると木沢氏はこの不意の問におどろいたらしいが、すぐ答えた。
「ええ、床についています」
「今日私達以外にここにお客がありますか」
「いやありません。林田さんが私が来るといれちがいに帰られました。あとここの家には家族だけです」

      9

「伊達は病気、林田は帰つた。あとはひろ子さんとさだ子さんだけですね。ふん……」
 藤枝はじつと考えては時計を見ている。
 とうとう私が堪りかねて云つた。
「もうさつきから約七分たつちまつてるぜ。おかしいじやないか」
「うん、どうも変
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