所に入れてあるのです」
「秋川さん、あなたはその重要な書類をこのうちの中にしまつておいたのですか」
藤枝が意外だという表情で訊ねた。
駿三はベッドから足を出してスリッパをつつかけながら、
「私もどこかの銀行の保護箱にでも入れておく方が安全だと思つてはいたのですけれど」
「いや、安全危険というより、私はあなたが、そんな過去の秘密に関する書類を今まで取つておいたのが意外だというのです」
駿三はよろめきながら、驚いている木沢氏その他をあとにしてドアの所まで行つた。
「何故それを今までとつておいたか、今出す書類でお判りになります。あ、木沢先生、御親切は感謝しますが、その書類はごく秘密なかくし場所に入れてあるので、勝手ですが私一人で行つて来ます。しばらく皆さんどこにも出ずにここでお待ち下さい」
駿三はこういうとドシンとドアをしめて出て行つた。
肉体的には大病人ではないとは云え、今までずつとねていた駿三が急に一人で立ち上つたので、木沢氏も大分おどろいたらしいのだが、駿三の言葉は極めて厳かで、一人でもあとからついて来るもののあるのを禁じているようだつたから、われわれ三人は黙つて室の中に残つ
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