、はつきり承わりますが、あなたが今御主人に会おうという要求は絶対的なのですか」
「はあ、絶対的です」
「一刻も猶予はできませんか」
「一刻もできません」
「そうですか」
木沢氏はますます困つたようすを表わした。
「どういうわけで一刻を争うか云いましよう。私は今日、主人に私の取り調べた事実を話し、彼にもはや秘密を守るの愚かなるを告げてその秘密をしやべらそうと思うのです。この秘密こそ、今回の惨劇の原因と信じられるものなのです」
6
「惨劇の原因?」
「そうです。それが唯一の原因とは必ずしも云えないかもしれません。しかし少くもその重要な一つです。あなたは当家の主人の奇々怪々な沈黙ぶりを知つておらるる筈です。あれです、解くべき謎は正にあれです。私はあの謎を解きかかつているのです。けれども最後の鍵は主人がもつている。私はその鍵をもつて事件を解決したいのです」
藤枝はきつぱりと云い切つた。
話が具体的になつて来たので木沢氏も藤枝の言に動かされぬわけにはいかなくなつた。
「どうしても今でなくてはいけないのですね」
「そうです。早ければ早い程いいのです。一刻でもおそいとどんなこと
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