づいて、至極陰気な暗い日だつた。
 メーデーの行列を閉口させない程度の雨が一日降りつづいて、四時半頃には、もうあたりはかなり暗くなつていた。
 この日の天候は、この日行われた惨劇に大へん関係があるのだから、読者ははつきりおぼえていて頂きたい。
 秋川邸に着いたのは四時半すぎだつた。
 笹田執事が取りついで、われわれは応接間に通された。
 木沢氏がちようど来ている所だつたので、藤枝はまず木沢氏に面会を求めた。
「藤枝さん、御旅行だつたそうで、小川さんからききました」
「え、急用で出かけました。それで今帰つたのですが、大変切迫した用で、ここの主人に是非会いたいのですが如何でしよう」
「さあ、御主人はずつと病気ですが」

      5

「それは小川から聞いています。しかし大病という程ではないのでしよう」
「この前と同じ神経の興奮です」
「どうでしよう。会えませんかしら」
「お話の工合によります。つまり神経をたかぶらせるような話はこの際絶対にさけて頂きたいと思います。これは医師の立場として、はつきり申し上げておきます」
 彼の言葉には科学を信奉するものの冒しがたき調子があつた。
 一方藤枝
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