じめた。
「今日の事件は全く意外だつた。殊にああいう形式で惨劇が起るとは、僕もまるで予想しなかつたことだよ。無論度々君に云つた通り、秋川の家に、第三の惨劇が起りはしまいか、ということは考えていた。しかし被害者が初江で、殺人方法がああいうやり方だとは! 全く意外だつた。これで僕の今までの考え方を根本的に改めなければならないかも知れん[#「これで僕の今までの考え方を根本的に改めなければならないかも知れん」に傍点]」
彼は思わずかたわらの煙草入に手を出したが気がついてまた手をひつこめた。
「根本的に考え方を改めるとは?」
「ねえ小川、君は今度の事件の特異性に気が附かないかい? ちようど第二の惨劇――あの四月二十日の事件がひどくある特色をもつていたと同じ位にね」
「さあ、ちよつと判らないな」
「駿太郎とやす子が同一人に殺されたとすれば――しかしてこの考えは正しいと信じるが、そうすれば共犯関係は別として、少くとも直接の犯人は男である、と考えるのが正しいだろう。君もそう思うだろうな」
「うん、そりやそうだ」
「ところが、きようの事件はどうだろう。全くその反対の結論を生み出してはいないかね……君は
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