たがまたつづけた。
「しかし、彼が変態性慾患者だということは、僕には、他の点で非常に興味があるな。つまり佐田やす子が全く情夫と逃げたわけでなく、また辰吉を嫌つてにげたわけでないとすれば、非常に面白いなあ」
「どうして?」
藤枝は、しかしこれには答えずに、一人でしきりに面白がつているようすである。
それから後は、私がいろいろに水を向けてもいつこうに、気がのらぬ風なので、私も余り長居をするのもどうかと、そのままうちに帰つてしまつた。
かくて二十日の事件後、二十一、二十二、二十三、二十四と四日は何事もなく無事にくれた。此の四日間の、出来事及び人の行動を簡単に記《しる》すと、二十一日に極くひそかに駿太郎とやす子の埋葬が行われた。二十一日朝から早川辰吉は邸宅侵入罪でずつと警察に拘束されている。伊達は一晩とめられて帰されたが、その後毎日よばれて何か調べられているようすだ。駿三はすでにのべた如く、ようやくショックからなおつて床をはなれたが、藤枝はまだ多少の熱の為に床についたままである。
そうして、とうとう恐るべき四月二十五日がやつて来たのであつた。
例によつて私は、四月二十五日の朝早く藤枝
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