んでいたのだな」と警部が云う。
「そうです」
「お前の今までの話ではやす子は情夫と一緒かどうかは別としてともかくお前を嫌つて逃げ出したと思わなけりやならん。これはいくらお前が自惚れて見たところで認めなければならぬ筈だ。そのお前がいきなり庭にとび込んだ時、女の方から寄つて来たというのもずいぶんおかしな話だが、あんな乱暴されている間、黙つていたというのはちとうけとれん話だね」

      7

「ですけれど今申した所がほんとなのです」
「腕をあんなに痛められた上に引ずられたりすれば、大きな声をあげなけりやならない。……お前その時、同時に首をしめたんじやないか」
「いいえ、決してそんな……」
「しかしその時は、今お前の云う通り、お前は夢中になつていた筈だ。夢中であるいはやつたかも知れないではないか」
「いえ、私は決して彼女を殺す気なんかははじめからないのです」
「そうではない。私はお前がやす子を殺そうとしたとは云わん。しかし今云つたように叫び声をとめようとして夢中で手をやつたんじやないか。そうだろう。よく考えてごらん」
「…………」
 早川辰吉は暫く何も云わずに下を向いていたが、やがて眉を
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