ばらく見つめていたがやがて三分の一程にもえつくしたシガーをポンと灰皿に投げこんだ。
「けれども、もう一つ妙なことに君は気がつかないかい」
12[#「12」は縦中横]
「さあね」
「あの豊頬の美少年を素裸体《すつぱだか》にした上、後手に縛つてしめ殺したり、あるいは頭を割つたり、やす子の胸まではだけて殺していたりして何となくこの犯罪は、いわば変態的なエロティックな臭味を大分もつているとは思わないかい」
「そういえばそうだね」
「やす子の方はまあ抵抗の結果ああいう死にざまになつたとしても駿太郎の着物をはいだのはどうしたつて犯人だからね。死んだ後にはいだかもしれないけれど……」
「しかし君、後手に縛られた手首が大分すり切れていた所を見ると駿太郎は縛られてからかなりもがいたらしいじやないか[#「ないか」は底本では「ないか。」]」
「えらい。中々君はよくおぼえている。じや君、もがいている間に少しも叫び声を立てなかつたのをどう説明する?」
「そうさね。まずガンと一撃頭をなぐつて昏倒したひまに着衣をとつてはだかにし、それから縛つて駿太郎が息をふき返したとき改めて絞り殺したんじやないか」
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