になる)
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 ことに伊達の為に不利だつたのは平生雇つている婆さんがちようどその時うちにいなかつた事で、彼がまつすぐに平生と少しも変つたことなく帰宅したといふ事実を立証する者が一人もなかつたのである。
 伊達に対する警部の訊問はかなり厳しいものだつた。
 従来あらゆる悲しみと苦悩とを無言でかみしめて堪えて来たらしい可憐なさだ子がついにたまりかねて、
「皆さんは伊達さんを疑つてらつしやるのでしようか……」
 と林田に嘆願するようにたずねた位であつた。

      2

 ちようどその時さだ子のすぐそばに藤枝がおり次に私がいたのだから藤枝か私にこうきいてもいい筈なんだが、さだ子はわれわれよりも林田の方を信用しているものと見える。
 もつとも、藤枝や私は、彼女にはじめから好意をもつていないらしいひろ子に頼まれてここに来ているのだからそれも不思議はないけれど。
 林田もさすがにはつきりした事はいいかねて、何やら口の中でしきりに云いながらさだ子を慰撫《いぶ》していた。
 警察や本庁の人達の調べは約二時間余にもわたつて漸く一先ず打ち切りと云うことになつた。あとは裁判所から予
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