白い豊頬に幾分紅をおびた上品な美少年である。この時はかすりの着物に兵児帯という活溌な姿だつた。
「おや、先生方ここにいらしつたのですか」
「ひろ子さん、あなたは?」
「あの……父の所にまいります。ちよつと用があるので」
「そうですか。そりやちようどいい、僕も今お父様にあいに行く所です。それに、あなたを前においてお父様にききたい事があるんですがよいでしようか」
こう云つたのは藤枝だつた。
「はい、結構でございますとも。私もそうして頂きたいと思いまして」
藤枝はひろ子と一緒に応接間の方に行きかかつた。
すると林田が、
「さだ子さんはどこでしよう」
とひろ子に訊ねた。
「さあ、私よく存じませんが、多分二階の自分のへやではないでしようか」
「じや私はさだ子さんに会つて来ます……駿太郎君、君も来るかい」
「僕はいやだ。僕ここで蓄音機をきくのさ」
「ほんとに困るんでございますよ。こんな時に蓄音機をやるなんて申すので。この人は毎日毎日レコードをかけてきいているのがすきなので、今日もどうしてもやりたいつて申しますの」
「だつてお姉様。毎日このごろ不愉快なことばかりで僕堪えられないんだもの。フュ
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