の灰を皿に落しながら、すぐまたこんな皮肉をいい出した。
「しかしだね。だから同時にその利益を受ける者を疑つている者は、余計な嘘を云いやすいということも考えなければならない。ひろ子はさだ子を疑つている。こいつは事によるとさだ子が母をどうかしたのじやないかと思つた。そこで一刻も早くさだ子に嫌疑をかけさせるように供述を仕組んだかも知れないよ」
私は、ひろ子のようなやさしい人を、どうして藤枝がこうあつさり片づけるのか、むしろ反感をもたざるを得なくなつたが、彼はこんな事を云い出したら決してその説を曲げない男であるのを知つている。私は今度は何も云わなかつた。
「母が死ぬことによつて利益を受ける人が少くとも二人はある。すなわちさだ子と伊達だ。反対者がなくなつた以上三分の一の財産がもらえることになるからね。そこでさだ子を犯人として見るさ。君がひろ子の肩をもつ理由はよく判つたが、するとさだ子は君のお気に召さないと見えるね。僕にはさだ子もたしかに美人だと思われるがな。あれが親殺しをする人と見えるかい」
今度は逆に彼が攻めて来た。成程、さだ子がおそろしいそんな犯罪を行おうとはこれもちよつと考えられぬので
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