うに彼は駿三に云つた。
「秋川さん、今まであなたの所に来た同じような封筒をあなたは一体どうしてしまつたんです?」
 この不意打の質問に駿三は口をあいたまま驚いて暫しは何も云えないようだつた。
「秋川さん、もし残してあるのだつたら、よく今日のと見比べて下さい。紙質がちがつているかどうかという事を。それからタイプライター[#「タイプライター」は底本では「タイプライラー」]というものは、手で書くと同じように機械によつて個々必ず癖があるものですからそれも見比べておいて下さい」
 驚いている主人の前に彼はかるくあいさつをした。
「それからもう一つ。従来は必ず郵送されて来たのでしようね。切手のはつてなかつたのは今日がはじめてでしよう」
 この質問に、駿三は思わず首をたてにふつたのである。

      3

 門の外に出ると藤枝は暫くふり返つて、秋川家の建物をながめていたが、やがてぶらぶらと歩き出した。そうしてケースから一本エーアシップを出してライターで火をつけながら、うまそうに一服すいこんだ。
「どうだい、馬鹿馬鹿しいと思わないかい。人を殺すなら黙つて殺しやいいじやないか。相手を苦しめるつもりな
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