とこれはどうしても夫人の方の関係と思わねばならない、ところで伊達かよ子の親戚のものですが、私の調べたところによると、その妹で一人今どこにいるか判らない女がいます。例の電話の一件といい、いろいろな事から考えて、今度の事件には女がかくれていると思われるのですが、伊達捷平の妻かよの妹が、姉の秘密を知つているとすれば、この女がまず怪しい」
「そうです。私にもそう思われぬことはありません」
 駿三は、藤枝がほんとうに自分の秘密を知りつくしているらしいようすを見て、もはやこれ以上かくしているのは無駄と思つたか、今度ははつきりと云つた。
「あなた、その女がどこにいるか判りませんか?」
 しかし駿三はこれには答えようともせず、急に坐りなおつた。
「藤枝先生、恐れ入りました。すべてが先生に判つている以上、もうかくしているのは、無駄だと思います。私の過去の秘密をここで全部物語りましよう。それについては是非お目にかけるべき品がありますから、それを取つて来ます。重要な書類があるのです」
「あなた自身でわざわざ行かれぬでも私が」
 木沢氏が、心配そうに口を出した。

      8

「いえ、私でなければ判らぬ所に入れてあるのです」
「秋川さん、あなたはその重要な書類をこのうちの中にしまつておいたのですか」
 藤枝が意外だという表情で訊ねた。
 駿三はベッドから足を出してスリッパをつつかけながら、
「私もどこかの銀行の保護箱にでも入れておく方が安全だと思つてはいたのですけれど」
「いや、安全危険というより、私はあなたが、そんな過去の秘密に関する書類を今まで取つておいたのが意外だというのです」
 駿三はよろめきながら、驚いている木沢氏その他をあとにしてドアの所まで行つた。
「何故それを今までとつておいたか、今出す書類でお判りになります。あ、木沢先生、御親切は感謝しますが、その書類はごく秘密なかくし場所に入れてあるので、勝手ですが私一人で行つて来ます。しばらく皆さんどこにも出ずにここでお待ち下さい」
 駿三はこういうとドシンとドアをしめて出て行つた。
 肉体的には大病人ではないとは云え、今までずつとねていた駿三が急に一人で立ち上つたので、木沢氏も大分おどろいたらしいのだが、駿三の言葉は極めて厳かで、一人でもあとからついて来るもののあるのを禁じているようだつたから、われわれ三人は黙つて室の中に残つ
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