或る淫《たわ》れ女《め》に教長《シャイク》*の言葉――気でも触れたか、
 いつもそう違った人となぜ交わるか?
答えに――教長《シャイク》よ、わたしはお言葉のとおりでも、
 あなたの口と行《おこな》いは同じでしょうか?

  (87)[#「(87)」は縦中横]

恋する者と酒のみは地獄に行くと言う、
根も葉もない囈言《たわごと》にしかすぎぬ。
恋する者や酒のみが地獄に落ちたら、
天国は人影もなくさびれよう!

  88[#「88」は縦中横]

天国にはそんなに美しい天女がいるのか?
酒の泉や蜜《みつ》の池があふれてるというのか?
この世の恋と美酒《うまざけ》を選んだわれらに、
天国もやっぱりそんなものにすぎないのか?

  (89)[#「(89)」は縦中横]

天女のいるコーサル河*のほとりには、
蜜、香乳と、酒があふれているそうな。
だが、おれは今ある酒の一杯を手に選ぶ、
現物はよろずの約にまさるから。

  (90)[#「(90)」は縦中横]

エデンの園《その》が天女の顔でたのしいなら、
おれの心は葡萄の液でたのしいのだ。
現物をとれ、あの世の約束に手を出すな、
遠くきく太鼓《たい
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