れる日、
その土でもし壺を焼いたら、さっそく
酒をついでよ、息を吹きかえすに。

  (82)[#「(82)」は縦中横]

命の幹が根を掘られて、
死の足もとにうなじをたれよう日、
身の土だけは必ず酒の器に焼いてくれ、
しばらくは息をつこう、酒の香に。

  (83)[#「(83)」は縦中横]

愛《いと》しい友よ、いつかまた相会うことがあってくれ、
酌《く》み交《か》わす酒にはおれを偲《しの》んでくれ。
おれのいた座にもし盃《さかずき》がめぐって来たら、
地に傾けてその酒をおれに注《そそ》いでくれ。

  (84)[#「(84)」は縦中横]

あのしかつめらしい分別《ふんべつ》のとりことなった
人たちは、あるなしの嘆きの中にむなしく去った。
気をつけて早く、はやく葡萄の古酒を酌《く》め、
愚か者らはまだ熟《う》れぬまに房を摘まれた。

  (85)[#「(85)」は縦中横]

法官《ムフテイ》よ、マギイの酒にこれほど酔っても
おれの心はなおたしかだよ、君よりも。
君は人の血、おれは葡萄の血汐《ちしお》を吸う、
吸血の罪はどちらか、裁けよ。

  (86)[#「(86)」は縦中横]


前へ 次へ
全43ページ中25ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ハイヤーム オマル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング