34[#「34」は縦中横]

善悪は人に生まれついた天性、
苦楽は各自あたえられた天命。
しかし天輪を恨《うら》むな、理性の目に見れば、
かれもまたわれらとあわれは同じ。
[#改丁]

[#ページの左右中央]
   万物流転《ばんぶつるてん》
[#改丁]

  35[#「35」は縦中横]

若き日の絵巻は早も閉じてしまった、
命の春はいつのまにか暮れてしまった。
青春という命の季節は、いつ来て
いつ去るともなしに、過ぎてしまった。

  36[#「36」は縦中横]

ああ、掌中《しょうちゅう》の珠《たま》も砕けて散ったか。
血まみれの肺腑《はいふ》は落ちた、死魔の足下。
あの世から帰った人はなし、きく由《よし》もない――
 世の旅人はどこへ行ったか、どうなったか?

  37[#「37」は縦中横]

幼い頃には師について学んだもの、
長じては自ら学識を誇ったもの。
だが今にして胸に宿る辞世の言葉は――
 水のごとくも来たり、風のごとくも去る身よ!

  38[#「38」は縦中横]

同心の友はみな別れて去った、
死の枕べにつぎつぎ倒れていった。
命の宴《うたげ》に酒盛りをして
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