持された限り、ツァールは倒[#「倒」に「×」の傍記]れてもツァーリズムの暴虐は跡を絶たなかった。ブルジョアジーがなお政権を握り、プロレタリアートが未だ自らを解放しなかった限り、一切の被抑圧民衆の解放はなく、いわんや婦人の解放はあり得なかった。二月革命[#「革命」に「×」の傍記]の諸経験が、帝国主義ブルジョアの手先ケレンスキー内閣の諸政策が何物よりも雄弁にそれを立証した。ケレンスキー内閣は、「パンと平和とを与え」得なかった。革命[#「革命」に「×」の傍記]的労働者、農民とともに婦人労働者及び農村勤労婦人もまた、二月革命[#「革命」に「×」の傍記]後の生き生きとした現実の諸体験と、ボリシェビキの積極的宣伝、扇動とのおかげで、プロレタリアの勝利によってのみ、プロレタリア独裁[#「独裁」に「×」の傍記]の実現によってのみ彼女たちの真の解放が実現せられるのだということを、次第にハッキリと意識するようになった。
二月革命[#「革命」に「×」の傍記]の火蓋《ひぶた》を切った勤労婦人たちは、十月革命[#「革命」に「×」の傍記]においてはもっと積極的な役割を演ずるようになっていた。彼女たちの多くは、革命[#「革命」に「×」の傍記]的プロレタリアートの積極的な味方として、炊事、看護、通信連絡等、赤衛[#「赤衛」に「×」の傍記]軍の後方陣地における諸活動の一切を負担したばかりでなく、彼女たちの意識的分子は進んで第一線に立って十月革命[#「革命」に「×」の傍記]の勝利のために絶大な貢献をした。そしてまた彼女たちは、いったん獲得したプロレタリア権力をあくまで死守するために、長い間反革命[#「革命」に「×」の傍記]軍や帝国主義諸外国の重囲のうちにあらゆる困難に耐えて勇敢に闘い、ついにそれらを撃破することに成功した。かくしてすでにプロレタリア独裁[#「独裁」に「×」の傍記]の確立した今日では、ソビエト同盟の婦人たちは、男子とまったく同一の政治的、経済的及び社会的権利を得、男子の間に伍《ご》して社会主義建設のために積極的に活動している。ソビエト同盟における社会主義建設の事業の一事は、文字通り勤労婦人の力によって成就されつつあるのだ。
ソビエト同盟においては、十月革命[#「革命」に「×」の傍記]によって、男子と女子との間における政治上、法律上及び社会上の一切の不平等は撤廃された。「婦人が男子と不平等であるという瘍跡《こんせき》はわがソビエト・ロシアの法律には少しも残っていない。ことに賤《いや》しむべき、下劣な、偽善的な結婚の不平等と家族の権利の不平等、小児の地位の不平等はソビエト共和国によって完全に廃絶された」(レーニン)。だが「婦人を完全に解放し、そして本当に男子と対等にするためには、社会[#「社会」に「×」の傍記]主義的経済、生産と消費とにおける共同経済、及び一般的生産への婦人の参加が必要とされた」(レーニン)。
資本主義の発達とともに婦人のますます多くが生産過程に参加する。それは、しかしながらソビエト同盟における場合のように、婦人を「家庭奴隷」から解放し、男子への寄生的、隷属的地位から解放して、彼女たちを独立の社会人として男子と同等の地位において社会的生産に参加せしめるためではなくして、かえって資本主義的搾取と隷属とを、従ってまた婦人の男子への隷従をますます強固にし、「永久化」せんがために外ならぬ。資本主義社会においては、婦人の生産への参加はそれだけ男子の職を奪うことになり、男子の賃銀を女子の水準にまで引き下げ、一般的労働条件をますます悪化させて、できるだけ多くの余剰価値を搾取するための手段として資本家のために役立つにすぎない。しかもかようにして親や夫が職を奪われまた賃銀を引き下げられる結果、彼女たちのますます多くがいや応なしに一家の飢餓を救うために職業を求めて奴隷的労働を、時にしばしば恥ずべき醜業をさえ余儀なくされるのである。かように、婦人の一般的生産過程への参加というそれ自体進歩的な、婦人解放の必要条件も、資本主義制度の下にあってはかえって婦人の男子への隷属を強め、婦人のみならず全勤労大衆をますます無慈悲に資本の支配下に屈従せしめることに役立っているにすぎない。それは何ゆえであるか? 資本主義社会においては、一切の生産手段は男子に、なかんずく資本家及び地主に属し、全勤労大衆とともに婦人たちの大部分はまったく生産手段の所有から排除されているからである。婦人の男子への隷属は婦人の生産的労働からの排除、生産手段処分権の男子への集中とともに起こった。そしてこの過程は、同時に主要生産手段のますます多くの部分がますます少数者の掌中に集中せられ、直接生産に従事する者の大部分が生産手段の所有から排除せられる歴史的過程に対応して進行した。
婦人の男子への隷属は
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