がお昼寝

落ちたらあぶない
   ピーヒヨロ ロー
枯れ木でお昼寝
   鳶が夢見た

飛ばぬとあぶない
   ピーヒヨロ ロー


[#1字下げ]茶柄杓[#「茶柄杓」は大見出し]

甘茶が わいた
茶がわいた

お寺の茶釜に
いつぱい わいた

柄杓《ひしやく》で汲まなきや
汲まれない

柄杓で汲んだりや
ちよいと汲めた

お釈迦《しやか》さんにちよいと汲んで
ちよいとあげた


[#1字下げ]張り子の虎[#「張り子の虎」は大見出し]

たんたん
  竹藪

走れよ
  虎よ

千里走つて
  また千里帰れ

たんたん
  竹藪

張り子の
  虎よ

千里走つて
  また千里帰れ


[#1字下げ]お猿の顔[#「お猿の顔」は大見出し]

お猿がお山にゐたころは
木の実を拾つて
食べてゐた

木の実を拾つて食べてても
お顔はやつぱり
赤かつた

お顔の赤いは生れつき
怒つてゐるンで
ないんだよ


[#1字下げ]霜夜の狐[#「霜夜の狐」は大見出し]

寒い声出した
霜夜の狐
  コンコン
    コン

その声ア寒い
も一度出せよ
  コンコン
    コン

永い夜は寒いナ
寒い夜は永いナ
  コンコン
    コン


[#1字下げ]雀の使ひ[#「雀の使ひ」は大見出し]

雀の使ひが
    まゐりました

雀の使ひが
    まゐりました

どこから使ひが
    まゐりました

雀の宿から
    まゐりました

雀の宿から
    まゐりました

お土産届けに
    まゐりました


[#1字下げ]粉雪[#「粉雪」は大見出し]

ちらりと
粉雪
 降つて来た

風呂場で
風呂汲め
 風呂わかせ

ちらりと
粉雪
 降つて来た

柄杓《ひしやく》に
柄がない
 底がない

底なし
手桶に
 水がない

河原に
かはせみ
 啼いて来る


[#1字下げ]カツコ鳥[#「カツコ鳥」は大見出し]

山でカツコカツコ
    カツコ鳥啼いた

山でカツコカツコ
    あの啼く声は

『雨の降る
  日にや
   雨傘ほしや』

『暗い
  闇夜にや
   提灯ほしや』

山でカツコカツコ
   カツコ鳥啼いた

高い山から
   里みて啼いた


[#1字下げ]高野山[#「高野山」は大見出し]

日暮れにや日暮れの
鐘が鳴る

高野《こうや》のお山は
紀伊の国
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