]ひとり旅[#「ひとり旅」は大見出し]

お空のお月さま
ひとり旅

わが子をたづねて
あるいてる

山にゆきや
茨の蔭のぞき

磯にゆきや
小磯の蔭のぞく

千年 たづねても
子にや 逢へぬ

万年 たづねても
子にや 逢へぬ


[#1字下げ]お供は後よ[#「お供は後よ」は大見出し]

エツサツサ
エツサツサ
お供《とも》は 後《あと》よ
お供は 後よ

お供は 後から
ついて来な
お供だ エツサツサ
お供だ エツサツサ

お供だ お供だ
お供だ エツサツサ

お荷物 エツサツサ
かついで エツサツサ

お供だ お供だ
エツサツサノサ


[#1字下げ]榧の実[#「榧の実」は大見出し]

烏ア畑で
榧《かや》の実 拾《ひ》ろた

たんこ たんこ たんこ
たんころたん と たたく

烏ア 榧の実
たんころたん と たたく

たたけ たんこ たんこ
たんころたん と たたけ

烏ア 榧の実
畑で拾ろた


[#1字下げ]ねむの木[#「ねむの木」は大見出し]

ねむれよ ねむれ
  ねむの木よねむれ

夕闇ア来たぞ

ねむの木が
    ねむりや

雀もかへる

河原の藪へ
  雀よかへれ

夕星ア出たぞ

雀がかへりや
  ねむの木もねむる


[#1字下げ]螢の燈台[#「螢の燈台」は大見出し]

お日が暮《くれ》れば
  ほたるの燈台

ほたるの燈台
  小さい燈台

ぴかりぴかりと
  皆光る 皆光る

ぴかりぴかりと
  ほたるの燈台

ほたるの燈台
  かはゆい燈台

かはりがはりに
  皆光る 皆光る


[#1字下げ]鼠・蛙・鬼[#「鼠・蛙・鬼」は大見出し]

鼠に 猫のひげを
  ちよいと お見せ

びつくりして
  キリキリ 廻つて
      すぐ 逃げる

蛙に 蛇の目を
  ちよいと お見せ

びつくりして
  とびあがつて
      すぐ 逃げる

鬼に 鐘馗《しやうき》の面を
  ちよいと お見せ

びつくりして
  キヤツ と いつて
      すぐ 逃げる


[#1字下げ]牛舎の仔牛[#「牛舎の仔牛」は大見出し]

廻れ廻れ
輪になつて廻れ

牛舎《うしや》の仔牛は
ゐなくなつた

親牛ヤ寝たきり
まだ起きぬ

廻れ廻れ
輪になつて廻れ

牛舎の仔牛は
ゐなくなつた

親牛ヤ寝たきり
まだ起きぬ

廻れ廻れ
輪になつて廻れ

牛舎
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