めしやんせ

りん気アせぬもの
恋アせまいもの。


[#1字下げ]銀座の月[#「銀座の月」は大見出し]

銀座照る月ア
田舎も照らす

月と名がつきや
二つはないに

済まぬ気がした
十五夜さまよ

わしの眼の性か
銀座で見たりや

麻の葉つぱで
こさへたやうに

丸いお月が
三角に


[#1字下げ]山ほととぎす[#「山ほととぎす」は大見出し]

茶の樹畑にや
茶摘み唄

この日の永いに
姉《あね》さまよ

菜の花畑にや
子守り唄

夜は明けやすいに
母《かあ》さまよ

山ほととぎすが
啼いてゆく


[#1字下げ]霧雨[#「霧雨」は大見出し]

霧し雨降りや
茶の樹がぬれる

鳩は茶の樹を
見ちや啼いた

霧し雨だが
茶の樹の上にや

しととしととと
降りかかる


[#1字下げ]旅の民謡 四章[#「旅の民謡 四章」は大見出し]

ふじの白雪
お日和《ひより》つづき
つばめ来る日も
間はなかろ
   ――富士五湖めぐり――

  ×

山にや霧立つ
霧ア雲となる
雲も重なりや
雨となる

  ×

帯のはばほど
なかろがあろが
吉田上宿
よいところ
   ――富士吉田口にて――

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