お話と歌の違ひがありますが、どちらも児童のものであります。歌であるだけ童謡は言葉の調子旋律に重きをおきます。どんなことでも童謡になると思ふのは、違ひます。童謡になるものと、ならないものとあります。童謡にならないものを童謡にしようと思ふと苦心を要します。苦心をした上によくは書けないのであります。この点も指導者はよく考へる必要があると思はれます。
 輝き渡る日本の国です。国民性の純真無垢の児童の心を培ふことが、将来のためにも、又、郷土色を多少でも養ふことがわれわれの努めであります。

  昭和十七年五月一日
[#地から1字上げ]野口雨情



底本:「定本 野口雨情 第三巻」未来社
   1986(昭和61)年3月25日第1版第1刷発行
底本の親本:「朝おき雀」鶴書房
   1943(昭和18)年2月28日刊
初出:年賀状「幼年倶楽部」
   1938(昭和13)年1月
   万歳さん「幼年倶楽部」
   1934(昭和9)年1月
   豆マキ「幼年倶楽部」
   1935(昭和10)年2月
   お離さま「コドモアサヒ」
   1933(昭和8)年3月
   森で啼く鳥「コドモノクニ」

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