佐渡が島

波々打つな
波打つな

佐渡は越後の
離れ島


風鈴

 つば子

つば子が来てる
つば子が来てる

つばめの子供の
つば子が来てる

つば子よお母《つか》さんと
来たのかい

お母さんはあとから
まゐります

一船《ひとふね》おくれて
まゐります

つば子が来てる
つば子が来てる

一船さきに
つば子が来てる

    (註。つば子とは燕の子に仮につけた呼び名です)


 釣鐘草

小さい蜂が
来てたたく

釣鐘草の
釣鐘よ

子供が見てても
来てたたく

大人が見てても
来てたたく

釣鐘草の
釣鐘よ

静かに咲いてる
釣鐘よ


 青い月夜

いとどの虫よ
今夜は月夜だ

土蔵の蔭で
細い糸ひけよ 糸ひけよ

どの家の屋根も
青い青い月夜だ


 木兎

夜啼く
木兎《みみづく》は
あーれはさ
夢がほしくて 夜啼くだ

さーらば
獏々《ばくばく》
夢とつた

夢なし
木兎は
こーれはさ
夢がみたくも 夢なしだ

さーらばさ
獏々
夢かへせ


 風鈴

風鈴さんが
ちんちん鳴ると
涼しさう

ちんちん鳴つた
ちんちん鳴つたと
大人も子供も
よろこんだ

秋になると
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