機織虫
機織虫《はたおりむし》は
一機 織つた
カンカラ コン
カンカラ コン
田舎は 涼し
凌霄花《のうぜんかづら》
カンカラ コン
カンカラ コン
機織虫と
一緒に 遊ぼ。
田甫の狐
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昔、或所の田甫《たんぼ》に古狐がゐました。若い女に化けて旅人をだまさうとした噺があります。
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田甫の狐は
赤い櫛さして
赤い帯しめて
後姿《うしろすがた》 見せて
三味線ひいてた
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又、子供をだまさうとした噺もあります。
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田甫の狐は
芒《すすき》の蔭で
赤い 風船
飛ばした
青い 風船
飛ばした
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畑の中で小酒盛をしてゐました噺もあります。
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田甫の狐は
畑の中に
胡座《あぐら》をかいて
河童の小父《をぢ》と
小酒盛してた。
青い空
母《かあ》さん 来るまで
姉さんと
青い空 青いから
見てゐませう
二歳《ふたつ》で あんよが
出来たから
母さんゐなくも
ゐられるわネ
青い空 見ておゐで
青い空に
夜になると お星さま
出て来るのよう
母さん 帰りが
遅いときは
門《かど》へ出て 姉さんと
待つてゐませう。
地蔵さん
空ア火事だ 梯子出せ
頭さ木杭《ぼつくひ》降つてくらア
嘘なら 狸に
聞いて見ろ
狸に聞いたら 舌《べろ》出した
傘《からかさ》かづいで 舌出した
嘘なら 蚯蚓《みみず》に
聞いて見ろ
こんやは 蚯蚓の行列だ
狸も跣足《はだし》で 行列だ
嘘なら 地蔵さんに
聞いて見ろ
地蔵さん 太鼓を買つて来た
ドドンコ ドンドン叩いてる
狸も一緒に 叩いてる
嘘なら 黙つて口出すな。
孟宗の竹籔
お寺の竹籔
孟宗《まうそう》の竹籔
お小僧が 掘つても
孟宗の竹籔
お弟子が 掘つても
孟宗の竹籔
掘つても 掘つても
孟宗の竹籔
お弟子が あきれて
鍬 投げた
お小僧も あきれて
鍬 投げた。
じんぐ じんぐ 掘つても
孟宗の竹籔
どこまで掘つても
孟宗の竹籔
よくよく これはと
鍬 投げた。
そろそろ 踏んでも
孟宗の竹籔
ヤンヤと 踏んでも
孟宗の竹籔
踏んでも打《のし》ても
孟宗の竹籔
和尚さん 駄目だと
鍬 投げた。
手毬唄
お手|毬《まり》ついて
毬ついて
二人で仲よく
遊びませう
あなたも 草履《ぞんぞ》を
はいといで
わたしも 草履を
はいて来よう
あなたの 髪《かんか》は
お煙草盆
わたしの 髪も
お煙草盆
お手毬ついて
毬ついて
二人で仲よく
遊びませう
明日《あした》も 明日も
遊びませう
仲よく 仲よく
遊びませう。
河童の祭
今夜は 河童の
お祭だ
獺《かはうそ》ア 車に
乗つて来らア
泣く子は 河童に
獲《と》られるぞ
お祭ア 太鼓で
押して来た
泣く子に 当薬《たうやく》
なめらせろ。
山の日
寒い日が
続いた
ぽかり ぽかり
日が照れ
日南《ひなた》ぽつこ
暖《ぬく》いな
山から海から
日が照れ。
猫の髯
隣の父《とつ》さん
小豆 一升
煮てた
牡丹餅《ぼたもち》甘《うま》いな
てつこ盛つて
食べた
三毛猫ア馬鹿だぞ
髯に
火がはねた
子
田甫の田螺《たにし》
早く
早く
起きろ
子供の雁《がん》は
ぱつた
ぱつた
翼《はね》だ
遠い遠い国へ
飛び
飛び
往つた。
七つの子
烏 なぜ啼くの
烏は山に
可愛七つの
子があるからよ
可愛 可愛と
烏は啼くの
可愛 可愛と
啼くんだよ
山の古巣に
行つて見て御覧
丸い眼をした
いい子だよ。
河原千鳥
こんこん 狐に
まはされた
娘は 昨夕《ゆんべ》も
帰らない
今夜も 河原で
啼け 千鳥
晩方《ばんげ》のお日さま
ゆつさゆつさ
小笹に ゆられて
ゆつさゆつさ。
ホーホー鳥
鶉《うづら》の鳥が
田甫で 啼いた
田甫の土を
踏み踏み 啼いた
ホーホー鳥も
お山で 啼いた
お山の森に
隠れて 啼いた
もう日が暮れる
お家《うち》へ帰ろ。
雪降り小女郎
泣く子は
帰れ
雀と帰れ
一軒家の
背戸に
雪五合降つて来た
山の 山の
奥の
雪降り小女郎
一里も 二里も
雪|負《しよ》つて
飛んで来た。
木小屋と柿の木
太郎作家《たろさくげえ》の鼬の子 『このごろ魂消《たまげ》た 出来事だ
太郎作どんには
内証《ないしよう》だぞ
次郎作《じろさく》どん家の
姉さまは
太郎作どん家の 柿の木さ
朝晩 かかつて
ゐたんだぞ
次郎作家の鼬の子 『己《おい》らも魂消た 出来事だ
次郎作どんには
内証だぞ
太郎作どん家の
鶏雛《ぴ
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