さう思へ

南風吹きや
  また来よつばめ
桜咲いたら
    来よつばめ

南風吹きや
  つばめの鳥よ
わしが待つぞと
    さう思へ


[#1字下げ]雲間[#「雲間」は大見出し]

歌は桃色
    薄桃色よ
人の心も
    皆いつはりか

人の心と
    雲間の 月はよ
月は雲間の
    蔭渡る


[#1字下げ]浪枕[#「浪枕」は大見出し]

昨夜《ゆふべ》も君から
来たたより

博多小女郎は
浪枕《なみまくら》

わたしも博多の
浪枕

ゆるしてお呉れと
ゆふたより


[#1字下げ]佐渡が島[#「佐渡が島」は大見出し]

海に海鳥
  鴎鳥《かもめどり》

海の遠くは
  どこの国

あれは越後の
  佐渡が島

波々打つな
  波打つな

佐渡は越後の
  はなれ島


[#1字下げ]蛇の心[#「蛇の心」は大見出し]

蛇の心に
  なつたのも
あなたがわたしを
    捨てたから

恋といふ芽の
  もえたのも
末たのもしく
    思ふから

捨てらば捨てろ
  このうへは
蛇のこころで
    死なば死のう


[#1字下げ]出船[#「出船」は
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