岳からは福岡県小倉高等女学校のために作りし寮歌である)
[#ここで字下げ終わり]
[#1字下げ]伊那の龍丘[#「伊那の龍丘」は大見出し]
伊那《いな》の龍丘《たつをか》
桃の花盛り
春蠶《はるこ》掃きませうか
籠ロヂ干そか
春蠶|毛子《けご》になつた
日和はよいし
簇《まぶし》たたいて
桑摘み唄よ
[#ここから4字下げ]
(伊那の龍丘は長野県上伊那郡龍丘村青年会のための作である)
[#ここで字下げ終わり]
[#1字下げ]帰る家なし[#「帰る家なし」は大見出し]
(映画「さすらひの少女」の歌の一節)
帰る家なし
帰らぬ旅か
水は流るる
日は暮れかかる
無事で暮らせよ
達者でゐろよ
無事で暮らそよ
達者でゐようよ
秋もをはりか
もう日は暮れる
厚い情も
涙の種か
[#1字下げ]春降る雪[#「春降る雪」は大見出し]
何にが 不思議だ
春降る雪はヨー
山の峰さへ
一夜《いちや》で解ける
わしの扱帯《しごき》も
春降る雪かヨー
伊那に来た夜に
するりと解けた
[#ここから4字下げ]
(伊那は長野県下伊那郡の小都会である)
[#ここで字下げ終わり]
[#1字下げ]津軽平野[#「津軽平野」は大見出し]
津軽平野の畑の中に
津軽平野の畑の中に
スツチヨンスツチヨンスツチヨンチヨン
咲いた菜の花 菜種の花は
咲いた菜の花 菜種の花は
スツチヨンスツチヨンスツチヨンチヨン
寝にやせ寝にやせと姿のよささ
寝にやせ寝にやせと姿のよささ
スツチヨンスツチヨンスツチヨンチヨン
[#ここから4字下げ]
(津軽平野は弘前市水鳥社のための作である)
[#ここで字下げ終わり]
[#1字下げ]但馬山国[#「但馬山国」は大見出し]
但馬山国
三日月さまも
山の蔭から
蔭へとはひる
山の蔭かよ
三日月さまは
但馬山国
恋の星月夜《ほしつきよ》
[#ここから4字下げ]
(但馬山国は姫路市曠原社のための作である)
[#ここで字下げ終わり]
[#1字下げ]暴風の夜[#「暴風の夜」は大見出し]
飲めよ コクテール
歌へよ 未来の唄を
赤く爛れた
二人のこころ
弾《ひ》こか バラライカ
ロシヤの唄を
空は闇夜で
星さへ見えず
窓を ノツクする
暴風《あらし》よ 雨よ
明日《あす》の夜明が
またれてならぬ
[#1字下げ]島の古巣[#「島の古巣」は大見出し]
海が暮れたら
浜辺へ 帰れ
風が吹くから
海燕《うみつばくら》よ
浜が暮れたら
古巣へ 帰れ
風に吹かれる
海燕よ
[#1字下げ]難波の鴎[#「難波の鴎」は大見出し]
風は どこへ吹く
難波《なんば》の河か
鴎 とりたい
難波の鴎
夜は どこへ寝る
難波の橋か
鴎 難波の
可愛いの鳥よ
[#1字下げ]若葉の月[#「若葉の月」は大見出し]
君の姿はいつ見ても
若葉の 月の
みづみづし
あまりに あまりに
みづみづし
君の言葉は 沙原の
沙の月より
なほおぼろ
あまりに あまりに
なほおぼろ
[#1字下げ]同じ国なら[#「同じ国なら」は大見出し]
同じ国なら
故郷の人か
聞いただけでも
なつかしう思ふ
今の 今まで
忘れてゐたが
村の娘で
わしやゐた頃よ
思ひ出したぞ
涙の種を
[#1字下げ]花は赤いし[#「花は赤いし」は大見出し]
花は紅《あか》いし
歌ほよ歌ほ
踊 をどろよ
社交ダンスをどろ
振ろかカスタネツト
カツタカタノタツと
たたこタンボリン
シヤシヤンガシヤンと
踊 をどろよ
火の酒飲もよ
[#1字下げ]わたしや黒猫[#「わたしや黒猫」は大見出し]
[#2字下げ]一[#「一」は中見出し]
わたしや黒猫
闇夜がすきよ
寒いロシヤへ
渡ろか 行《ゆ》こか
行こよロシヤの
雪降る国へ
身まで売られた
わしや黒猫よ
[#2字下げ]二[#「二」は中見出し]
風は 吹く吹く
港の沖に
寒いロシヤの
国吹く風よ
行こよ明日《あした》は
ロシヤの国へ
どうせ売られた
わしや黒猫よ
[#2字下げ]三[#「三」は中見出し]
鳥は空飛ぶ
空飛ぶ鳥よ
つれて行かぬか
ロシヤの国へ
ロシヤは恋しい
火を吐く国か
たよりすくない
わしや黒猫よ
[#1字下げ]薔薇の花さへ[#「薔薇の花さへ」は大見出し]
[#2字下げ]一[#「
前へ
次へ
全7ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
野口 雨情 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング