に
須坂恋しい
ちよいと出たお月
カツタカタ カツタカタ
オヤ カツタカタ
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(ちよいと出たお月は長野県須坂町山丸組製糸会社のために作りし女工歌である)
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[#1字下げ]伊那小唄[#「伊那小唄」は大見出し]
□
木曾と伊那とは
背中と背中
背中合せの
風ばかり
□
淵は瀬となる
天龍川の
堰《せ》かれ水とは
わしがこと
[#1字下げ]小諸小唄[#「小諸小唄」は大見出し]
□
上州見おろし
浅間が山は
胸にほのほの
火を燃やす
□
恋の小諸へ
小諸の町へ
吹くな浅間の
山颪《やまおろし》
[#1字下げ]お三大星さま[#「お三大星さま」は大見出し]
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(焦土の帝都をさまよふ若き女の唄)
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お三大星《さんだいしやう》さま
またしやんせ
わたしや夜ふけに
ひとりぽつち
待てと云《ゆ》ふたら
待たしやんせ
可哀想《かはいさう》なら
泣きやしやんせ
身につまされたて
愚痴ぢやない
連れて行くなら
行きやしやんせ
お三大星さま
連れ衆連れ
わたしや焼野に
ひとりぽつち
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(お三大星さまは俗に三ツ星とも云ひ夜明けごろ西空に落ちゆく星である)
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[#1字下げ]千ヶ滝小唄[#「千ヶ滝小唄」は大見出し]
二つ日はない
浅間が山よ
わしが願ひを
どうなさる
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(千ヶ滝は浅間山麓の避暑地である)
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[#1字下げ]三井田川[#「三井田川」は大見出し]
三井田川の
竪坑《たてこう》の風は
恋の風やら
わしや恋し
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(三井田川は福岡県の炭坑地である)
[#ここで字下げ終わり]
[#1字下げ]千代の松原[#「千代の松原」は大見出し]
千代の松原
ひよろひよろ松よ
こぼれ松葉の
わたしぢやほどに
逢ひに来たのか
泣かせに来たか
逢ひに来たなら
出て逢ひませうに
泣けと云ふなら
わしや泣きませうに
唄で流して
横丁を通る
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(千代の松原は福岡県博多の名所である)
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[#1字下げ]運動踊り[#「運動踊り」は大見出し]
[#2字下げ]春[#「春」は中見出し]
春の花かよ
桜の花は
春の花だよ
あの花は
チヤチヤラチヤ ヤツトサ
[#2字下げ]夏[#「夏」は中見出し]
夏の空かよ
夕立雲は
夏の空だよ
あの雲は
チヤチヤラチヤ ヤツトサ
[#2字下げ]秋[#「秋」は中見出し]
秋の月かよ
尾花の上に
秋の月だよ
あの月は
チヤチヤラチヤ ヤツトサ
[#2字下げ]冬[#「冬」は中見出し]
冬の風かよ
山吹く風は
冬の風だよ
あの風は
チヤチヤラチヤ ヤツトサ
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(運動踊りは盆踊りに代る新しき踊りのために作りし踊歌である)
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[#1字下げ]乙鳥の鳥[#「乙鳥の鳥」は大見出し]
渡り鳥かよ
乙鳥《つばめ》の
鳥は
渡り鳥だよ
あの鳥は
[#1字下げ]また来よつばめ[#「また来よつばめ」は大見出し]
月日立つのは
つばめの鳥よ
はやいものだと
さう思へ
南風吹きや
また来よつばめ
桜咲いたら
来よつばめ
南風吹きや
つばめの鳥よ
わしが待つぞと
さう思へ
[#1字下げ]雲間[#「雲間」は大見出し]
歌は桃色
薄桃色よ
人の心も
皆いつはりか
人の心と
雲間の 月はよ
月は雲間の
蔭渡る
[#1字下げ]浪枕[#「浪枕」は大見出し]
昨夜《ゆふべ》も君から
来たたより
博多小女郎は
浪枕《なみまくら》
わたしも博多の
浪枕
ゆるしてお呉れと
ゆふたより
[#1字下げ]佐渡が島[#「佐渡が島」は大見出し]
海に海鳥
鴎鳥《かもめどり》
海の遠くは
どこの国
あれは越後の
佐渡が島
波々打つな
波打つな
佐渡は越後の
はなれ島
[#1字下げ]蛇の心[#「蛇の心」は大見出し]
蛇の心に
なつたのも
あなたがわたしを
捨てたから
恋といふ芽の
もえたのも
末たのもしく
思ふから
捨てらば捨てろ
このうへは
蛇のこころで
死なば死のう
[#1字下げ]出船[#「出船」は
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