[#1字下げ]浪枕[#「浪枕」は大見出し]

昨夜《ゆふべ》も君から
来たたより

博多|小女郎《こぢよらう》は
浪枕

わたしも博多の
浪枕

ゆるしてお呉れと
いふたより


[#1字下げ]川しぶき[#「川しぶき」は大見出し]

さつさ行《ゆ》きましよ
   あの山越えて
花は咲けども
   ふるさとの
月はおぼろに
   川しぶき
さつさ行きましよ
   あの川越えて
花は散れども
   ふるさとの
月はなつかし
   川しぶき


[#1字下げ]芙蓉の花[#「芙蓉の花」は大見出し]

芙蓉《ふよう》の花の
   咲く頃にや

芙蓉の紅い
   花が咲く

雀もお宿に
   帰る頃にや

雀のお宿も
   日が暮れる

おれもかうして
   ゐるうちにや

おれも日暮れて
   しまふだらう


[#1字下げ]いとどの虫[#「いとどの虫」は大見出し]

青い月夜だ
   いとどの虫よ

河原蓬《かはらよもぎ》は
   末《うら》から枯れる

青い月夜も
   いつまで続く

鳴いてくれるな
   いとどの虫よ


[#1字下げ]千羽烏[#「千羽烏」は大見出し]

生れ故郷の
 
前へ 次へ
全34ページ中11ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
野口 雨情 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング