は別れの
  母やんよ
   アレサわたしの袖に吹く

山が曇れば
  父《とと》やんよ 父やんよ
   アレサ港に 雨が降る

雨は涙の
  父やんよ
   アレサわたしの袖に降る


[#1字下げ]人形さんよ[#「人形さんよ」は大見出し]

七つ八つまで
赤い下駄はいた
    人形さんよ

 赤い下駄見りや
 思ひ出す

赤い鼻緒の
下駄はく頃にや
    人形さんよ

 わたしやお母《つか》さんと
 寝んねした

いつの間にやら
物恥かしい
    人形さんよ

 淡いあはれの
 夢もみる


[#1字下げ]水の流れ[#「水の流れ」は大見出し]
   (続「船頭小唄」の一節)

[#2字下げ]一[#「一」は中見出し]

俺もお前も
   ゆく末は
どうせ浮世の
   荒波に
辛《つら》や浮世の
   荒波は
泣いて渡らにや
   渡られぬ

[#2字下げ]二[#「二」は中見出し]

水の流れも
   誰ゆゑに
同じ浮世の
   恋心
恋は短し
   吹くな風
わたしや涙で
   船を漕ぐ


[#1字下げ]夜明し千鳥[#「夜明し千鳥」は大見出し]

今宵《こよひ》忍ぶは
  恋
前へ 次へ
全7ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
野口 雨情 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング