《かよ》てゆきたや
船大工さんよ
船大工
汐にせかれりや
橋ア流る
娘
橋が流れりや
わたしも流る
小舟ほしいや
船大工さんよ
船大工
舟も櫓がなきや
流される
娘
橋はせかれる
舟ア流される
通て来るなか
船大工さんよ
船大工
命《いのち》帆《ほ》にして
通て来よ
[#1字下げ]恋の巣立ち[#「恋の巣立ち」は中見出し]
恋の巣立ちか
夕《ゆふべ》のお星や
触れりや落ちそにもう出てる
触れりや落ちそに
もう出てる
女なりやこそ
涙ももろい
恋の甘さにや泣かされる
恋の甘さにや
泣かされる
空はたそがれ
夕のお星や
うぶな心であこがれる
うぶな心で
あこがれる
[#改段]
鴫の声[#「鴫の声」は大見出し]
[#1字下げ]鴫の声[#「鴫の声」は中見出し]
晩げになつても
お母《つか》さんが来ない
お母さん来るかと
出て見たりや
スイスイちけ
鴫の声
鴫は田で啼く
可愛《かあい》鳥《とり》
待つてもお母さんの
来ないときや
せどの田甫で
前へ
次へ
全26ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
野口 雨情 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング