に關する記載は、その他の草木、土産等の記事と共に禹貢の中でも尤も古質なる文辭であつて、貢※[#「竹かんむり+匪」、読みは「ひ」、170−9]は手工を加へられたる産物、包※[#「はこがまえ+軌」、読みは「き」、170−9]は天産物をいふが如き差異はあるが、大體に於いて射獵時代の産物を多く含んで居つて、その他の土産もこれに近きものである。他の部分には牧畜の記事もあり農業の記事もあるが、斯かるものは後から附け加へられたものと考ふることも出來るので、禹貢の根本の組立ては或ひは古くから傳はつたものであるかも知れないが、それを現在の禹貢の體裁に組立てたことはどうしても農業が發達した以後でなければならぬと思ふ。この記事を研究するに就いて他に參考すべきものは、周禮職方氏に九州の各々に其利、其畜、其穀として地方の産物を擧げてあることであるが、其利といふのは多くは天産物であり、やはり狩獵時代を代表し、其畜は牧畜時代を表はし、其穀は農業時代を表はして居る點は、禹貢よりは極めて規則正しく書いてあるので、同じやうなる材料が禹貢よりも後に編成されたと考ふることが出來るのである。逸周書の王會解並びにそれに附屬せる湯
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