とも限らざれば、姑らく此に擧げて參考とするのみ。
伊支馬、彌馬升、彌馬獲支、奴佳※[#「革+是」、第3水準1−93−79]  梁書及び南史には彌馬升なし、蓋し脱落ならん。宋本太平御覽[#ここから割り注]近ごろ又友人稻葉氏を煩はして※[#「にんべん+方」、第3水準1−14−10]宋活字本御覽を圖書寮の宋槧本に對校せるに四夷部の倭國の記事中三國志を引ける者は全く相同じき由を報ぜられたり因て以後は皆宋本として引用せり附記して稻葉氏に深謝す[#ここで割り注終わり]には彌馬升を彌馬叔に作れり、是れ叔を古寫本などに※[#「叔」の別体、268−18]に作るより生ぜし異同なるべし。今いづれを正しとも決し難けれども、二字の音も相遠からざれば、いづれを取らんも妨げなきに似たり。此の四の官名は邪馬臺國のものなれば、此の記事考定の資料としては、最も重要なる者なり。凡そ此の倭人傳の官名考定は從來史家の甚だ等間に付せし所なるが、余は最も之に注意し、明らさまに言へば、先づ此の四の官名を考へ得たるによりて本傳考定の鍵を得たるなり。第一の伊支馬といへる語には神名帳には大和國平群郡に往馬坐伊古麻都比古《イコマニマスイコマ
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