敬首和尚の典籍概見
内藤湖南

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【テキスト中に現れる記号について】

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   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「音+欠」、第3水準1−86−32]
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 日本に目録學なし。目録や解題の書は相應に古き世より之あり、漢籍にては日本國現在書目、佛書にては八家の將來録などより、信西入道の藏書目、清原業忠の本朝書籍目録、これらは古書を考ふる者の缺くべからずとする所にして、徳川時代に入りては林道春父子の日本書籍考、經典題説が解題の嚆矢となりしより、遂に支那人をして其の名著に驚かしめたる經籍訪古志のごとき者さへ出づるに至りたり。故に目録の書は觀るべき者少しとせざれども、目録學の書に至りては、殆ど之あるを見ず。
 蓋し目録學は支那に在りて、特別の發達を爲し、二千年前に於て劉向、劉※[#「音+欠」、第3水準1−86−32]父子を生じ、其後之を祖述したる者は間出すれども、要するに二劉の上に出づる者なし。其の精神は著述の流別を明らかにするに在りて、單に簿録部居を爲すに在らず。是れ支那の如く、あら
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