いへるも、學術に對する理解の非凡なるを見るに足る。又
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凡そ書籍に僞書多し關尹子。墨子。鬻子。晏子春秋等の書は恐は後人の僞作也眞書には非ず
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といひ、
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近代中華より來る所の藏經の中語録相ひ半ばせり此れ乃ち塵芥を以て金文を汚せり
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といへるは、並びに極端に失するに似たれども、又見得て透徹せる處なきにしもあらず。
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佛書の中天台と慈恩と一行とは別に一格ある用意の書なり此の三書は尤も大事なり一行の書は易老子の如し慈恩の文は楊子法言太玄經の如し天台の書に又一格あり此の三書の格は甚深の口傳あるべし唯授一人の祕法なり筆示すべからず云々
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とあるは是れ其の獨得を言明せる者なり。和上は元來、佛教各宗の批判に就きて、一流の獨見あり。達磨の立は佛法には非ず、天竺一箇の富蘭那の見なりといひ、凡そ佛法所立の人師の中にて、智※[#「豈+頁」、第3水準1−94−1]法師一人少し目開き申候然れども大に大途を取損はれたり、千歳以來此人の性具にばかされ申候といひ、淨土宗の事、法然の
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