君の契《ちぎ》りは深かれよ
忍踊りを一踊り
君様に、ここに一つのたとえあり
清滝川も濁りそろ
なにとて君様つれなさよ
忍踊りを一踊り
君様を、思いかけたる庭の花
うらの妻戸を忍び入る
忍踊りを一踊り
忍び入り、君の枕に手をかけて
ここでこの夜を明かせかや
忍踊りを一踊り
今ははや、思いし恋いしがかの[#「かの」に傍点]てそろ
枕屏風《まくらびょうぶ》にかたよけて
物語りは限りなや
忍踊りを一踊り
[#ここで字下げ終わり]
若々しい老尼は、忍踊りの声を逐一《ちくいち》、遠音の伴奏に合わせてうたい出したが、やがて手をさし、足をのべて、おのれも踊りながら歩いて行く。
「手ぶりなら、こちらへきてござんせえな、トトさんも、カカさんも、ニイも、ネエも、ボーも、マーも、みんな踊ってござんすわいなあ」
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やれやれよういな
声が欲しいわいな
「ちょいとこなあ」
よう立つ声が
声で人をや、迷わすは
しょんがいな
[#ここで字下げ終わり]
これや名代《なだい》の大原女《おはらめ》、木綿小紋に黒掛襟の着物、昔ゆかしい御所染の細帯、物を載せた頭に房手拭、かいがいしくからげた裾の下から白
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