むし》同様
外夷に笑われ京都はしくじる
金がなくなる、世の中乱れる
お口はすくなる
ここらで一ト口、湯でも呑むベイ
  スチャラカ チャカポコ
  チャカポコ スチャラカ
  スチャスチャ チャカチャカ
  チャカポコ チャカポコ
    スチャラカ チャカポコ
[#ここで字下げ終わり]

 チョボクレとなり、チョンガレとなり、阿房陀羅経《あほだらきょう》となって、あいの手には木魚をあしらい、願人坊主即ち浮かれ坊主となって、この長物を唄い済ました方も済ましたものだが、聞く方もよく聞いたものだ。聞き終ってから主膳は妙に気が滅入《めい》りました。
 それは、チョボクレとして文句が練れない、言葉が野卑に過ぐる、そのくせ、学者ぶったところが鼻につくものがある、天下の諸侯に八ツ当り、罵詈讒謗《ばりざんぼう》を極めたそれを不快に思うのではありません。痛快に罵倒を試みたことに、無限の哀愁がある。それはこのざれ歌を作った奴が、罵《ののし》らんがために罵ったのではない、火のつくような徳川の天下の危急を見て、救いの手を絶叫している、その声だとしか聞かれなかったからであります。そうして、かような罵倒の声に事
前へ 次へ
全386ページ中331ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
中里 介山 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング