吃々《きつきつ》として、こういう釈明をする間にも、異人氏は小舟の修繕の手を休めない。銃器を取外した駒井は、そのやり場に苦しむような手つきで、ふたたびそれを持扱いながら、これと対した石の上に腰を卸して、異人氏の言うところを言いつくさしめようと構えている。異人氏は、ここまで来ると、必然の論理を通さねばならぬかの如くに、ねちりねちりと問わざるに答えるのである。
「欧羅巴《ヨーロッパ》の文明というものは間違っているです、蒸気が走り、電気が飛び、石炭が出る、機械がどよめく、それで、人が文明開化だといって騒いでいるだけのものです、蘊蓄《うんちく》ということを知らないで、曝露《ばくろ》するのが文明だと心得違いをしているです、陰徳というものを知らないで、宣伝をするのが即ち文明だと心得違いをしているです、ごらんなさい、今に亡びますよ、今に欧羅巴人同士、血で血を洗う大戦争をはじめて共倒れになりますから、わたくしは、そういうところに住むのが嫌いですから、もっと広い世界へ出ました」
「君は文明開化を否定している、人類の進歩というものを呪《のろ》っているらしい、それが欧羅巴の文明というものを究《きわ》め尽して
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