――また尋ねて来ました」
「はい」
「舟をなおすのですか」
「はい、舟を修繕しています」
「だいぶ古くなっていますね」
「なにしろ、三年前に乗捨てた舟ですからね。もう二度使おうとは思わなかったですが、また手入れをしなければならないです」
「新たに漁でもおはじめなさるのですか」
「いや、漁ではありません、沖へ出なくても魚は捕れます」
「では、急に何の必要あって」
「海へ乗り出すのです、新たなる征服者が来たから、先住民族は逃げ出さなければならないです」
「待って下さいよ、新たなる征服者というのは我々のことですか、先住民族というのは君のことですか」
「そうです、あなた方は侵入者であり、征服者であります、新たなる征服者が来た時は、先住民族は逃げなければなりません、逃げなければ血を流します」
「これは奇怪なお説です、誰が君を殺すと言いましたか、誰が君の血を見たいと言いましたか」
「当然です、誰も言わないが、それが移住者の約束です」
「そういう約束をした覚えもない」
「人間同士の約束ではない、天則です、でなければ歴史です、人類相愛せよということは、猶太《ユダヤ》の大工さんの子だけが絶叫する一つの高
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