開墾地の留守の支配は、七兵衛入道ひとりを以て足れりとします。このぐらい適当な管理者というものはなく、自ら働くことに於て模範の腕を持つのみならず、人を働かせる上に於て非凡な人情味を持ち、その上に、睨《にら》みを利《き》かせる威力というものが相当に備わっている。まだ、手を下して、人を懲《こら》したということはないけれども、まかり間違って、この入道の怒りを買った日には、なんだか底の知れないような刑罰が下りそうだ。刑罰というよりも、復讐が行われそうだというような凄味がドコかにあると見えて、これが人を威圧、というよりも、圧迫、或いは脅迫する圧力がある。そういうわけで、ニヤリニヤリと脂下《やにさが》る好人物としての入道には幾分の親しみもあるが、人を狎《な》れしめない圧迫感もある。それに、ムク犬というものが、お松の命令と意志を分身のようによく守る。曾《かつ》て敵視した七兵衛に向っても、牙を向けるというような気色が衰えました。
お松は、駒井の不在中の官房をあずかること、その在舎中と変りはありません。田山白雲は、白雲の去来するように、自由な行動を許すよりほかはない。そこで、駒井は、もはや留守には何の
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